この仕事をしていると、『ライトを失くした・・・』『ダイブコンピューターを落とした・・・』『カメラが無くなった』など落胆するゲストの姿を見かける事がたま～にあります。
ゲストから詳しい話を聞いて、落とした場所を絞って・・・ガイドの仕事が終わってから捜索ダイブ！なんて事もあります。
ちなみに、まあまあの確率で見つけて来ますよ！
でも、今回は、これまでとは勝手が違う紛失物。失くしたものは・・・『差し歯』。前歯です。
なんで差し歯が失くなったんですか？
レギュレーターの中に入ってないですか？
ボート上に落ちていないですか？
失くしたタイミングはいつ？ 水中でレギュレータークリアの復習をしたあの時ですか？ それともエキジット時？
そもそも、差し歯って沈むのだろうか？ 浮いているのなら、見つける事は不可能です。（沈んだとしても、見つける事は不可能に近いですが。）
調べると、材質は金属で表面はセラミックだそうです。
という事は、沈みますね。
3日後。ダメ元で、レギュレータクリアをした場所とエキジットした場所を探してみましょう、という事で捜索ダイブを実施。
歯を失くされたご本人は耳の抜けが悪くてボートでお休み。相方と僕で捜索しました。
白くて四角い形・・・。
サンゴの欠片を一つ一つチェック。途方もない作業を始めたものです（笑）。
大体、この広い海で差し歯を見つけるなんて、ウミウシを探すよりも困難ですよね。
捜索を開始して1分ほど経過した時、妙に四角い前歯の形をした白い物体を発見。
差す用なのか窪みもある。人工的な窪みに見えるなあ。
これって・・・差し歯？？ まさか・・・ねえ。
とりあえず、ボートに戻って、ご本人に試着していただき確認。
が、うまく差さらない。。。まあ、そうでしょうね。前歯そっくりなサンゴの欠片の可能性の方が高いですもんね。
でも、ホントに前歯の形なんです。よくできたサンゴの欠片だよなあ。
えみ船長は『もしかして、別の人の差し歯じゃない？』とか言ってますが、海の中にそんなに差し歯なんて落ちてないでしょ。
海の中で差し歯を落とす人なんて、超超超レアケースでしょ。
よくもまあ、別の人の差し歯じゃない？という発想になるよなあ。。。どういう頭の構造をしているんだろうか。
と、その時！『入った！！』と驚愕の一言が！！
その笑顔には、何の違和感もない前歯たちが揃っています。見事にフィットしています。
え？？ 差し歯って事でいいんですか？ 見つけたって事でいいんですか？
大歓声に包まれるボート上。そして大笑い！！
海の中で差し歯を見つけたガイドして、プロフェッショナルの流儀に出られないかなあ。
全国から海の中の差し歯捜索の依頼が来たりして！
・・・だから、差し歯落とすダイバーなんて、超超超レアケースだって！！
2024年のダイビングで、ダントツNo.1の思い出に残るダイビングとなりました！！
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